もうひとつのシエスタ
2012年 08月 30日
地中海沿岸の国々に "シエスタの習慣" があるのは、前回お話ししたとおり。
日本では馴染みの無いこの習慣、実は地中海エリアだけではなく、他の地域でも見ることができる。
例えば、東南アジア、南アフリカ、中南米...。
こうしてみると、むしろ世界的に親しまれている習慣のようにも思える。
ベトナムやインドネシアなどに見られる、東南アジアのシエスタ。
ヨーロッパ諸国が植民地としていた時代にその習慣が伝わったという説もあるが、真偽のほどはよくわからない。
ただ、 "シエスタ" がここで市民権を得ているのには、「もうひとつの理由」がある。
それは、東南アジア特有の「蒸し暑さ」。
地中海沿岸も夏は40度近くになることはあるので、温度計上での見た目の暑さは一緒かもしれない。
ところが、東南アジアではこれに「高い湿度」が加わる。
つまり、モーレツに蒸し暑い。
ただでさえ強烈な陽射しのもと、じっとりとした湿度の中で働いたりで歩いたりするのは、かなりツライ。
ヘタをすれば、熱中症で倒れてしまうかも。
このようなトラブルを防ぐ意味もあって、東南アジアでもシエスタの習慣が根付いたらしい。
田んぼや畑での農作業は、夜空が白々と明るくなってきた頃に始まり、陽が昇りきる前の10時頃に一旦終える。
そしてその続きは、陽が落ちかけた夕方から手元が見えなくなる頃まで。
昔からずっと受け継いできた習慣だ。
日本の夏も、ここ数年はまるで熱帯の国のよう。
エネルギーを大量に消費する文明の利器に頼るよりも、昔から伝わる英知をもう一度有効活用する時代が来ているのかもしれない。
インドネシア・バリ島の田んぼ
田植えも刈取りも機械は使わず、全て手作業で
重労働なハズなのに、その表情は太陽のようにとても明るい
にほんブログ村
by photographerasuha
| 2012-08-30 22:17