シエスタ・フォトグラファー ASUHA-明日葉- による、ゆったり・まったり・のんびり癒し系ブログ。ウェブサイト In the town of SIESTA 本編とは少し違ったGraffiti(落書き)を描きます。


by photographerasuha
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手織り職人の村

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「しーーーーーん」(無音)

シエスタの島の昼下がり、山間にある小さな集落を歩いていた。
聞こえてくるのは、小鳥のさえずりと自分の足音だけ。
例によって、鄙びた村のひとつだ。

シエスタ時なので、当然ながら誰も歩いていない。
パン屋は開いてはいたけれど、中を覗き込んでも人の気配は無かった。
そんな村の小道をゆっくりと散歩していたら、ひとりの女性とばったり出逢った。

東洋人は珍しいので、少々怪訝そうに見られるのはいつものことだ。
けれど、「ヤーサス(こんにちは)♪」とひと言挨拶すると、途端にニコリと素朴で温かな微笑みを返してくれる。
何気ないことだけれど、癒される瞬間だ。

「あの...、もしよろしければ、村の伝統工芸をご案内させていただけませんか?」
彼女はそう切り出してきた。
もちろん、答えは決まっている。

「こちらです。後についてきてください」
そう促され、細い路地を歩いてゆく。
足音が二人分に増えただけで、どこまでも静かな村だ。

聞けば、彼女は手織り職人だそう。
そして、村には14人の職人がいるらしい。
村の規模を考えると、女性の多くがこの仕事に就いているのだろう。

「私のアトリエです。どうぞ、中へ...」
伝統的な島様式の家。
古いがゆえの、趣のある建物だ。

部屋の隅には手織り機が鎮座している。
間近で見ると、意外と大きなものだ。
準備を終えると、彼女は実際に機を織って見せてくれた。

「カタンカタン、シュッ...、カタンカタン、シュッ...」
部屋にリズミカルな音が響く。
人の手によるものは、どこか温かく心地よい。

それを終えると、作品の数々を紹介してくれた。
テーブルクロスに花瓶敷き、パンを包んでおく布...。
そのどれもが遥か昔から村に受け継がれた手法で織られたものだ。

彼女にしてみれば、何か買ってもらえれば...と思っていたかもしれない。
とても残念だけど、私が欲しいと思うものは見つからなかった。
それもひとつの "出逢い" だから、仕方が無いのだけれど...。

決して売り込んできたり、また買わないことで嫌な顔をすることも無く、彼女はまた機織り機に向かうと淡々と作業を始めた。
お礼を告げると、ニコッと微笑んで見送ってくれた。
クルマを停めた村の入り口まで戻っても、機織りの音は届いてきた。

「カタンカタン、シュッ...、カタンカタン、シュッ...」

あれから数ヶ月が経ったけれど、今でも耳の奥にその音が残っている。
もし、またあの村を訪れたなら...
もう一度、作品を見せてもらおうかな?。

人の手で作られたものは温かさを感じる
たくさんの手間と時間を経て
作り手の愛情が込められている


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by photographerasuha | 2015-12-16 18:32 | Trackback | Comments(0)