チュニジアに逢いたい
2015年 03月 29日
まさか、こんな事件が起きてしまうとは...。
チュニジアの首都・チュニスでの事件は衝撃だった。
チュニジアに行かれたことがある方は、決して多くはないだろう。
だから、こんなニュースを耳にすると、とても物騒なところのように思えるかもしれない。
が、実際にはヨーロッパ諸国の人々にはとても人気がある旅行先。
カルタゴの古代遺跡、シディ・ブ・サイドの青と白の町並み、果てしなく広がるサハラ砂漠、映画スターウォーズのロケ地・タタウィーン...。
国中いたるところに名勝が点在する、魅力に溢れた観光大国だ。
過去には長年フランスが統治していたことから、イスラム教の国ながらカトリック教会も数多く、またユダヤ教のシナゴークも見られる。
そんな多様な文化が入り混じっていたせいか、イスラム教の戒律も緩めで、北アフリカでは際立って穏やかで安全な国だった。
そう、少なくとも2011年のジャスミン革命前までは。
私が前回訪れたのは、それよりもっと前のこと。
海は碧く、太陽は力強く、ブーゲンビリアが咲き乱れ...、他の地中海の町と同様、穏やかでゆったりとした時間が流れている。
加えて、風がサハラから運んでくる砂塵と、あちこちにあるナツメヤシ畑が、北アフリカらしいスパイスになっていた。
チュニスの街は首都だけに近代的な都会だけれど、それでもメディナと呼ばれる旧市街やスーク(市場)は、まるで別世界のように古き良き時代の雰囲気が漂っていた。
街を歩いて印象的だったのは、あちこちに赤い国旗とひとりの人物があしらわれたポスターやペナントが数多く掲げられていたこと。
その人物こそ、後の革命で国を追われることになってしまう当時の大統領、ベン・アリ氏だった。
チュニスの郊外、カルタゴのアントニヌス浴場遺跡からは、正面に広い地中海を見渡すことができる。
遺跡のすぐ隣、さらに一段高いところに、立派な白亜の大統領官邸があった。
そちらの方向にレンズを向けることは厳しく制限されていたのだけれど、こちらに向けられた監視カメラの数が相当な数だったのを憶えている。
そんな様子から、独裁的政権のイメージをおぼろげに感じていた。
けれども、地元の人々はいたって穏やかで、道行く人々は皆にっこりと微笑んで会釈をして通り過ぎてゆく。
何かと勝手の違うイスラム文化の国で、そんな屈託の無い笑顔に癒され、安心感を得たものだった。
そんな旅から、もう随分時間が経ってしまった。
そんなこともあって、ここ数年、チュニジアへの旅を考えていたのだけれど...
残念だけど、情勢が落ち着くまで、しばらくは難しいだろう。
早く、あの平穏で温かなチュニジアに再会したいものだ。
南部の町、メドニン
昔の暮らしと今の暮らしが混在する
白い今風の建築も、中身は昔ながらの日干し煉瓦だ
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by photographerasuha
| 2015-03-29 23:36